絵本『きみのなまえ』〜保護犬の命を守る〜(佼成出版社)

<判型> A5変判・64頁 148×210×10mm

「ねえ、この子になまえをつけてあげようよ!」
実話をもとにした、一匹の犬とその「なまえ」にまつわる感動の物語

<内容>
近所の林で見かけた栗毛の野良犬のことが、たくとは気になっていました。家で保護しようと、お母さんと一緒に貼り紙をして連絡を待っていると、ある日、保健所に連れていかれたという目撃情報が入り……。物語の後半、孤独だとばかり思っていたその犬の意外な事実が判明して、たくととお母さんは喜びで胸がいっぱいになります。実話を元にした感動の物語。

<著者プロフィール>
□あんずゆき
大阪府在住。神戸大学卒業。第10回・第12回小川未明文学賞優秀賞、第5回・第6回盲導犬サーブ記念文学賞大賞受賞。作品に「おたすけ屋助太のぼうけん」シリーズ、『やんちゃ子グマがやってきた!』『夏に降る雪』(共にフレーベル館)、『おれさまはようかいやで』『モンキードッグの挑戦』(文溪堂)、『大坂城のシロ』『デカ物語』(くもん出版)、『土手をかけおりよう!』(文研出版)、『佐藤初女物語』(PHP研究所)、『菌ちゃん野菜をつくろうよ!』『マオのうれしい日』(共に佼成出版社)などがある

□かなざわまゆこ
兵庫県在住。嵯峨美術大学大学院修了。手描き絵画の魅力を、絵本、映像アニメーションやインタラクティブなメディアアートなどを通して表現するクリエイター。おおしま国際手づくり絵本コンクール2011において、『きみのいる家』(後に『てんからのおくりもの』として出版ワークスより出版)が最優秀の文部科学大臣賞を受賞して絵本作家デビューする。作品に『ぼくぱぐ』『ポワン』『さすらいのルーロット』(以上、出版ワークス)、『地震がおきたら』(BL 出版)などがある。日本児童出版美術家連盟会員、環境芸術学会会員。

〜絵本を描き終えて〜

現代は、ペットショップで血統書付きのペットを飼う方が多く、
高額な取引がなされているようですが、
一方で、野良犬が保健所に保護されては
殺処分されているというアンバランスな現実も
同時に起こっています。。。

特に今年は、
新型コロナウィルスで家で過ごす時間が増えたことから、
ペット需要が増え、一方で、
経済不況からペット遺棄されることも増えている現状です。

今回の新作絵本は、福岡県で実際にあった
雑種の野良犬を保護する実話を元にした物語を
児童文学のあんずゆきさんが書き、
私が挿絵を担当し出来上がりました。

依頼が来たとき、私は即答したのですが、
なぜなら、私自身も、野良犬を保護した経験があったからです。

物語を読んで、絵本の中の犬が、まるで
5歳の時から20年間飼っていた私の犬のように感じられました。
一人っ子だった私に、野良犬の「ポチ」は、様々な経験をさせてくれました。
動物とのふれあいやお世話を通して、
相手に寄り添うこともできるようになりました。

野良犬のキャラクターデザインは任せていただいたので、
私が飼っていた雑種の「ポチ」を描かせてもらいました。

私の子供時代は日本に野良犬がたまにいましたが、
現在ではほとんど見かけません。

でも、環境省によると保護犬の数は
一年につき4万頭にものぼるそうです。
おそらく多くの方が、殺処分の現実を想像すらできないのではないでしょうか。

私たちは色々な犬を飼う選択肢がありますが
彼ら(野良犬)には選択肢はとても少ない・・・

私は、絵本を通して、
ペットはペットショップで飼うことだけじゃないということや、
保護することで守れる命もあるということ、
どんな出会い方でもお世話を通して、
かけがえのないパートナーになれることを絵本で伝えたい。

迷い、お腹をすかせている動物達が、
安心できる場所で眠れて、お腹いっぱいで暮らせたらと伝え、
一人でも多くの方々に保護犬という現実にも
意識してもらいたいと強く願っています。

また、この絵本には、
シングルマザーの家庭が主人公ということも、
従来の絵本ではタブー/マイノリティーとして
描かれてこなかった点ではないでしょうか。

どんな環境であっても、明るさを絶やさず、
命を守ろうと行動する母子のひたむきな姿は、
家族や人との繋がりが多様化している今、
人々の希望になるのではと感じています。

ですので、

一人でも多くの方に手にとって読んでいただきたい
そんな1冊です^^*

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